200単位への道
  2008年度入学 理学部 地球惑星システム学科学生の場合

【ご注意】
・ここで紹介されている時間割は当時のものであり、現在では開講時間等が変更になっているものもあるかと思います。
・学部等によっては、履修登録できる単位数に上限がある場合があります。また、教職専門科目や基盤科目を上限対象科目に含むかどうかなど、学部等によって扱いが異なってくると思うので、参考にする際はご注意ください。
・理学部専門教育の科目は青色、教職科目は赤色で示しました。

はじめに

 大学生の学費は大学で何をしようと一律です(留年以外)。ならば、出来るだけ授業をとったほうがお得というものです。そこで、ここでは授業を200単位分とるとどのような時間割になるかご紹介します。ご紹介する時間割は私が実際に立てたものです。

1セメスター(1年前期)

  数学概説(2) 地学実験法・同実験(2) 化学実験法・同実験(2) コミュニケーションIA(1)
教養ゼミ(2) 物理概説A(2) ベーシックドイツ語I(1)
線形代数I(2) ベーシックドイツ語I(1) コミュニケーションIB(1) 天文学(2) 生物科学概説A(2)
微分学(2) 化学概説A(2)   スポーツ実習C(1) 情報活用演習(2)
統計データ解析A(2) 日本国憲法(2) 地球惑星科学概説A(2)    

集中講義…地球科学野外巡検A(1)
単位数 34単位

 単位を普通のものと集中講義に分けました。科目名の横にあるカッコ内の数字は単位数です。水曜と木曜の実験法・同実験は1コマ1単位ずつで合わせて2単位です。【注】
 1年の前期、大学生活で一番履修単位が多かったセメスターでした。1日4コマ以上って…。大学入って初めてのセメスターなので張り切ってしまったのかもしれません。学科が推奨している時間割がそもそも多かったので、さらに興味のある授業とったらこうなってしまいました。もう少し後のセメスターに分散させればよかったです。

 初めて時間割を立てるときに、あまり科目をとりすぎるなとよく言われます。あまりとりすぎるとそれぞれの科目の勉強にかける時間が少なくなってしまうので、成績が下がってしまうというわけです。テスト勉強は、どうしても直前の詰め込みが主になってしまうため、1セメが消化不良になっている感は否めませんでした。

【編者注】「実験法同実験」について、正しくは実験法が15時間で1単位、実験が45時間で1単位、合計2単位である。

2セメスター(1年後期)

中東・イスラームの世界(2) 線形代数学II(2)     コミュニケーションIIB(1)
スポーツ実習C(1) 自然環境と地図(2)   政治の世界B(2) ベーシックドイツ語II(1)
  ベーシックドイツ語II(1) コミュニケーションIIA(1) 地球テクトニクス(2) 生物科学概説B(2)
積分学(2)   水圏地球化学(2)   アジアの近現代(2)
    地球惑星科学概説B(2) 物理学概説B(2) 化学概説B(2)

集中講義…なし
単位数 29単位(通算単位数 63単位)

 1セメよりだいぶ授業数が少なくなりました。趣味でとった科目は月曜4コマ、火曜1コマ、木曜2コマです。

 スポーツ実習は90分近く体を動かすので、次のコマに授業がるとキツイです。次のコマを空きコマにするか、その日最後の授業にスポ実を入れるのがおススメです。

 出来るだけ多くの単位を取りたい、というのであれば、主専攻プログラムとは別にとる科目(つまり趣味でとる科目)は専門とは違う分野がお勧めです。なぜならば、専門とする科目の内容は、どうせ後々のセメスターで習うことになりますし、しかも専門科目として勉強するのですから、当然教養科目として習う授業よりも深い内容になります。専門科目と被る内容の教養科目を履修することは、結果として二度手間になってしまうのです。専門とする分野以外に興味がない、というのなら仕方がないですが、その場合どうしても授業内容がかぶってきます。分かりきった既習事項について延々と講義されるのは苦痛です。それよりも、「こっちの分野にも興味があったんだよね」というような、違う領域の授業を多くとる方がお勧めです。専門科目の勉強の負担にならない範囲で履修することはもちろんですが、ちょっとした息抜きのように、楽しんで受講できる、そんな科目を選んでいけばまさに幅広い「教養」が身に着くと思うのですがいかがでしょうか?

3セメスター(2年前期)

  地球惑星物質学(2)     熱力学(2)
広島大学の歴史(2) 気候と生物(2) 層相進化学(2)   地球惑星物質学演習A(1)
教育の思想と原理(2) 地球惑星内部物理学I(2) 固体地球化学I(2) 物理学実験A(1)  
チャレンジングTOEIC(1)     結晶光学演習(1)  
教職入門(2) 物理科学I(2)      

集中講義…自然システム教育学概説I(2)気候変動学(2)
単位数 28単位(通算単位数 91単位)

 このセメスターから専門科目が本格的にスタートしました。専門科目で気をつけないといけないのは、必修科目を落とすと面倒くさいことです。必修の単位は最優先に取らないといけませんから、それを落とすと次の年の取りたかった授業が再履修のために取れなくなることがあるのです。教養科目なら、たとえばオープン科目や基盤科目のように複数の科目から再履修科目を選ぶことができますが、専門の授業は替えが効きません。なので、必修科目はゼッタイ落とさないようにしましょう。せっかく「面白そう!」と思って入ってきた学科なのに、その面白そうな授業が受講できなかったらもったいないですから。

4セメスター(2年後期)

自然システム教育学概論II(2)     力学I(2) 生物学実験A(1)
教育実習指導C(2) 地球惑星物質学演習B(1) 総合演習(2)   資源地球科学I(2)
生徒・進路指導論(2) 地球惑星科学英語演習(1) 岩石学演習(1) 地層学(2) 資源地球科学演習I(1)
エクステンシブリーディング(1) 地球惑星内部物理学II(2) 岩石学(2) 構造地質学(2) 生物圏地球科学(2)
教育と社会・制度(2)   特別活動指導法(2) 植物分類学(2)  

集中講義…地球科学野外巡検B(1)
単位数 35単位(通算単位数 126単位)

 僕は教員免許取得を目指しているので二年生から毎セメスター教職科目を履修していました。その単位数が教育実習や教職専門科目を入れて33単位でした。さらに学芸員資格取得特定プログラムもとっていたので、このプログラムに関する単位も15単位(教職・学芸員で被っている物もあります)履修しています。これらの科目のおかげでとれなくなった科目もありますが、自分でこれだけの単位を主体的に見つけて、履修するのは難しかったと思います。このように、なんらかの特定プログラムや副専攻プログラム(いわば単位の塊)を「とってしまう」のも一つだと思います。

5セメスター(3年前期)

道徳教育指導法(2)     資源地球科学演習II(1)  
児童青年期発達論(2)   地球惑星内部物理学A(2) 熱水地球科学(2)  
哲学A(2)   太陽系進化学(2) 博物館概論(2) 地球惑星システム学実習B(2)
  地球惑星内部物理学演習A(1) 固体地球科学II(2)  
教育課程論(2)   外書講読(2)    

集中講義…地球惑星システム学実習A(4)石油資源学(1)化学実験A(1)、博物館実習(2)
単位数 32単位(通算単位数 158単位)
※博物館概論は文学部開講のもの。

 この先生の授業は面白い!というように、自分の好みに合う先生に出会えたら、その先生が担当する別の講義をとるのもいいかと思います。大学は自分で勉強するところとはよく言われますが、なんだかんだで授業の快適度、充実度は担当教官によると思います。これといったテキストがない場合も多い大学の授業。授業中に集中してある程度までマスターするほうが断然効率がいいのです。この先生なら丁寧に教えてくれる、もしくは楽しく授業を受けられる、という先生に出会えたら、他の授業も担当されていないかシラバスを調べてみてはいかがでしょうか。

6セメスター(3年後期)

木 
生涯活動教育論(2) 先端地球惑星科学(2)      
  地球惑星内部物理学B(2) 宇宙科学演習(1)    
  岩石レオロジー演習(1) 宇宙化学(2) 岩石変形学(2) 地球惑星内物理学演習B(1)
教育方法・技術論(2)   環境地球化学(2)    
教育相談(2)   博物館経営論・情報論(2)    

集中講義…中・高等学校教育実習I(4)
単位数 25単位(通算単位数 183単位)

 三年にもなりますと、専門の授業も選択の幅が増えていきます。専門は同じ内容の科目が二つとない場合が多いので、どうしてもこのような中途半端な時間割になってしまいます。個人的には火曜四コマ、金曜四コマとかは教養科目などを履修したかったのですが、履修登録期間が教育実習中だったために授業の下見が出来なかったので、やめておきました。三年生にもなると研究室配属や、実験、就職活動が忙しくなりますから、あまり無理はできないかもしれませんね。

7セメスター(4年前期)

木 
                             
         
         
         
    博物館概論(2)    

集中講義…卒業研究(4)地球惑星システム学特別講義(1)
単位数 7単位(通算単位数 190単位)
※単位認定されなかったものは省略。博物館概論は総合科学部開講のもの。

 四年生になってからはご覧の通りガクッと取れる授業が減りました。平常の授業は博物館概論のみ。面白い内容で、とても素敵な授業でした。四年生の大学生活ですが、研究室が生活の中心になります。忙しい研究室は本っ当に忙しいです!正直時間固定の授業があるとかなり研究に支障をきたします。今になって心から思うのは三年までに思いっきりバカなことをすべきだということです。四年になったら研究に集中しましょう。

8セメスター(4年後期)

木 
                     倫理学B(2) 哲学B(2)
         
         
         
         

集中講義…卒業研究(4)測量学(2)地球惑星システム学特別講義(1)、西洋教育史 (2)
単位数 11単位(通算単位数 201単位)
※「哲学B」は単位認定されず

 なんとか200単位到達できました。卒論が大詰めになっていくにつれて授業との両立は本当に厳しくなりました。哲学Bはテストに出席できず「欠席」になってしまいましたし、200単位取得はあきらめようかとも思いました。それでも何とか達成できてよかったです。大学生の本分は研究ですから、かなり後ろめたい気分になりました。こんな時間割になることは避けましょう(誰がするんだ(笑))。授業の内容はどれも面白いものばかりで、もっと余裕のある時期に履修したかったと思いました。

最後に

最後に、これまでとった授業の中からお勧め科目を独断と偏見でご紹介させていただきます。

哲学A(古東 哲明先生)
 内容は面白くて分かりやすく、テストは持ち込みアリ、哲学とはどういう学問かを学ぶ授業です。領域科目で有名な科目にこの「古哲」(古東先生の哲学)、そして「浦心」(浦先生の心理学)、「高倫」(高橋先生の倫理学)がありますが、僕はまだ古哲しか履修していません。他の二つも是非来年受講したいです。哲学Aは大教室で行われますが、後ろの席は私語でうるさい場合があるので、中~前列の方で受講するといいかと思います。

児童青年期発達論(鹿嶌 達哉先生)
 授業内容は、過去の私たちの行動、心理の理由を「発達」という視点で考えていこう、というものです。内容に好き嫌いはあるかもしれませんが、この授業は先生のトークがとても面白いです。こんなに笑い声が起きる授業は初めてでした。先生はいろいろと面白い話をしますが、学生の私語については厳しいので授業の雰囲気はとても良いです。この科目は同じ名前のものがたくさんあるので、気をつけてください。理学部のE102の大教室で行われている授業にしかこの先生は来られません。

博物館経営論・情報論(古谷 可由先生)
 美術館の現役学芸員の方が実際の学芸員の仕事についても触れながら、博物館の経営、情報論について講義してくださる授業です。内容の好みは人によってかなり違いますね…。学芸員を目指している人、博物館が好きな人にはうってつけの授業です。僕は本当に楽しめました。成績の付け方はレポートと出席です。レポートはかなり自由な形式なので、負担は全然感じません。


 大学生のうちに出来るだけたくさんの経験をするべきだ、とよく聞きます。授業は勉強の手段の一つであるとともに、経験でもあると思います。僕の場合だと、パッケージ科目で行ったフィールドワーク、博物館実習、教育実習はまさに経験ですし、専門とは違う科目を履修することによって違った見方、考え方が持てるようになることも経験だと言えます。「200単位なんて狂気の沙汰だ」と言われるかもしれませんが、せっかくの大学生という身分です。卒業してからでは、決して学ぶことのできないことを学べる科目がたくさんあるのですから、200単位とは言わないまでも趣味で授業をとってみることは絶対得することになるはずです。「時間割の正しい立て方」ではまず出てこない例だと思いますが、こういう取り方もできる、という一例として見ていただければ幸いです。

2011年2月19日公開
2011年10月15日加筆
2012年6月14日加筆


200単位への道-広島大学文書研究会Wikiも参照


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